緑好き夫婦のためのマンション住戸の改修である。
既存住戸は約60㎡の典型的な田の字型プランだが、大きな特徴は見合いのない約40㎡の庭を有していることである。庭を強く意識させつつ、庭との一体感と開放感のある空間を目指した。
改修では、床と天井で縁取られた白いボリュームを住戸中央部に配置し、水回り・寝室・書斎・収納を内包した。それにより庭と外廊下に面して開かれた余白を作り、リビングダイニングと玄関を設けた。
ボリュームと余白部分の設えは、床レベルと天井高に変化をつけ、仕上げや照明に対比関係を用いて空間を大きく切り替えた。空間の変化により、庭を引き立てて意識させるとともに一体感と開放感を作り出した。
リビング開口部には2種類のシースルーロールスクリーンを設けることで日射や視線を緩やかに遮るとともに庭との奥行感を演出する仕掛けとした。
日々の庭の移ろいを感じるきっかけとなり、その豊かさが住戸全体に引き込まれていくことを期待している。
【文:池田遼太】