鎌倉は、三方を山、一方を海に囲まれた天然の要塞として、鎌倉時代に源頼朝が築いた日本初の武家政権の拠点であった。その閉ざされた地形の内と外をつなぐために設けられたのが「切通し」であった。切通しとは、囲まれた世界を切り開き、外部へと接続するための空間的操作である。
東京から移り住む家族である施主は、鎌倉らしい伸びやかさと開放感のある暮らしを期待していた。一方、本敷地は三方を住宅、一方を水路に囲まれた旗竿敷地であり、周囲から閉ざされた環境にあった。そこで設計では最初に、この囲まれた敷地条件の中で、いかにして開放感のある暮らしを実現できるかを考えた。中庭を中心にLDKと各居室を配置し、内側に向かって開く求心的な平面構成とした。さらに、その平面構成を切り通すように、複数の視線の抜けを意図的に設け、その先に開口部を配置した。この操作により、建物の一端から反対側の端へと視線が貫かれ、さらには外部へと誘導される空間体験が生まれている。囲まれた敷地の中で平面を最大限に活用し、視線と空間を切り通すことで、伸びやかで開放的な暮らしを実現した。切り通す、かつて鎌倉が切通しによって閉ざされた世界を切り開いてきたように、本計画においてもまた、囲まれた敷地における住宅を切り開き、開放感という豊かさをもつ建築を目指した。
【文:plural studio】
| 種別 |
住宅 |
|---|---|
| 構造規模 |
木造軸組工法 |
| 設計 |
plural studio+ルーヴィス |
| 施工 |
ルーヴィス |
| 施工管理 |
重久萌 坂田諒 |
| 計画面積 |
100㎡ |
| 撮影 |
Masaki Ogawa |
| 所在地 |
神奈川県鎌倉市 |
| 家具製作 |